ならばぼくは

ならばぼくは、古臭い喫茶店で向かい合ってコーヒーを飲みたい、美味しそうな和菓子を買ってきみのうちに行って、「おいしそう!」って喜ぶきみの顔を眺めたい、台所に立つきみを後ろからちょっかいだして、ぎゅっと抱きしめて、そのままベッドの上にダイブしたい。おでこが当たる距離に近づいて、何度も何度も「好きだよ」って伝えたい。男の人から電話が鳴って、あれこれ頭を悩ませたあと、きみからの二、三の言葉で安心したい。海に行きたい。プールに行きたい。白いシーツのうえで眠らずおしゃべりをして、明け方五時ごろ、夜の森に溶け込むようやすらかな眠りに落ちたい。「何か質問はある?」と上司は聞く。ぼくはこう聞きたい。「いつ彼女に会えますか。いつ泊まりに行けますか。今すぐいってもいいですか」今週末、会いに行ける。久しぶりに朝を迎えることができる。